Brainworxより、新たなコンソール・エミュレータ"bx console E"が発表され、Plugin Allianceで発売中です。bx_consoleを持っているものの試してみたら、衝動買いしてしまうほど良かった!という話になります。デジタル・サミングの悪い部分を緩和して、拡がりと奥行きを簡単に得ることのできる一品。
コンソールエミュとは
ミキサー卓のことをコンソールといい、コンソールそのものを再現するソフトのことです。アナログらしいサウンドというのは、実はアナログミキサーによる部分も大きいので、各社がこぞってコンソール・エミュレーターを発売しています。
しかし、bx_consoleシリーズのスゴイところは"チャンネル"ごとの違いすらもエミュレートしているという部分です。
実は"チャンネルごとの違い"こそが、アナログサウンドの秘密です。
チャンネルごとの違い
言葉そのままの意味です。しかし、チャンネルごとに違いがあったらマズイんじゃ、と普通は考えます。当然、最高級のミキサーであれば、各チャンネルが等しくなるように設計されているはずで、部品の選定も基準に基づいて行われているはずです。
そのような万全の体制で制作された最高級のミキサーであっても、やはりアナログである以上、各チャンネルの特性が完全に等しくなるということはありえないのです。それが物理的な限界であり、自然の摂理というものです。
bx_console Eでは音質の違いだけでなく、エフェクタ類の効き方の違い、位相変化ですら再現しているようです。 回路、部品単位での再現をしています。しかも72ch分!
しかし、そうした違いが音楽的(人間の耳)には結果的に良く働き、ミックスに程よい分離感や拡がりを与えてくれます。ちなみに熟練のエンジニアの方は、そうした違いを理解したうえで、各チャンネルを使い分けるそうです。スゴイなー。
ミキサーチャンネルでの音作り
このソフトを使うと、いいミキサーは通しただけで音が締まって、チャンネルに備え付けられたEQ等を感覚的に弄っていくだけで、サウンドがまとまっていく!というようなことを実感させてくれます。
スタジオ級のアナログ・コンソールをつかってミックスするのが理想ですけども、そんな場所も資金もないので、だからこそこういうソフトを使えば良いんだと思います。
とにかくチャンネルストリップで基礎的なプロセッシングを行うことは、ミックス作業の根幹になるし、それが伝統的なアナログ・ミックスの秘密なのかなと思います。そうした受け継がれてきた技術をこのソフトを通じて、デジタル・ミックスに導入できるのが、このソフトの素晴らしい所です。
bx_console Eの特徴
というわけで、具体的な各機能についてまとめます。
まず、そのチャンネルごとの違いを実現するには、DAW上の各トラックにインサートしたbx_console Eのチャンネル番号を被らないようにそれぞれ設定していく必要があります。初代bx_consoleではコレが少し面倒でした。
しかし、Eではランダムボタンが追加され、押すだけで自動的に番号を割り振れるようになりました。ALLだと現在インサートされているトラック全てに反映されるよううです。コレめっちゃ便利!
実は特にEQを調整しなくても、この番号を割り振った時点で、ミックスに変化があったりします。これが、このプラグインのすごいところですかね。
ダイナミックス系、フィルター、EQと各エフェクタが備え付けられており、更に二種類のモデルをワンタッチで切り替えて使うことが出来ます。特にEQのブラックモードとブラウンモードは、効き方が全然違うので、目的によって使い分けられます。
あとEQはとにかく良く効く!これで大まかな音質をデザインすることが出来ます。これをすることで、あとで個別のEQを掛けるにしても、全然違います。
コンプレッサーはVCAタイプで、ゲインはなく、スレッショルドを下げると、オートでゲインを上げてくれるようです。これもやっぱ良い音です。
というわけで、いろいろな機能てんこ盛りですが、一番すごいのはこれだけあって、CPU使用率が低いことです。全部で72chあって、その分を同時に使えないと意味がないとは言え、すごいですなー。
まとめ!
というわけで衝動買いしてしまったわけですが、後悔はしてません!即戦力ですね。とにかく、クリアなんだけど音が厚くなるんです。太くなるというより、厚くなるという感じです。
アナログ=音が太くなる。太けりゃいいのか!みたいなことを言う人もいるとは思うんですが、クリアさもあるのでアナログに対する考え方が変わるかもしれません。
当然、ミックス自体に色は着きますから、それを嫌う人もいるかもしれません。でも、やっぱ良い音なんですよ。単純に。
あとアナログノイズ自体も調整できるので、邪魔だという人は切ってしまえばいいですし、とにかくそういう自由度が高く、使いやすい部分が最高です!