曇り空の朝には。

総合音楽家の日記です。

音楽制作用プラグインの今後のトレンドとは。Eventide "Elevate"のレビューによせて。

VSTプラグインというのは、ソフトシンセを含め、現代のコンピュータ中心の音楽制作には無くてはならないものです。

 

 数多くの名アナログ機材がモデリングされ、エフェクタとしてDAW、つまりコンピュータ上でありながらも、より音楽的でウォームなサウンドを得ることが出来ます。と同時にクリアさを念頭に置いたデジタル・プラグインもあるわけですが、その音への不満からアナログ・モデリングが出てきたわけです。

 

 多種多様なプラグインが無料有料含めて多数出ており、初心者にとっては数が多すぎて、よく分からん!という状態になってしまいがち。自分も最初は混乱してました。なんで本ブログでも何個か既にやってますが、随時いいプラグインの解説をしていけたらと思っとります。

 

 で今回は少し抽象的な話題になりますが、今後どのようなプラグインが出てくるか、主流になっていくか流れ(トレンド)を自分なりの予測を交えながら書いていきたいなぁと。

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 というのも今、注目されているEventideによるリミッター、マキシマイザーとなるElevate(上写真)及び、グラフィックEQのEQuivocateが凄い良かったから。まずはこのプラグインの初感レビューからいきます!

(なお今はデモ期間中。今月のセール期間中に買います。)

 


 ちなみに最近上げた、この動画はElevateを使ってマスタリングしてます。ミックス時点でマスタートラックにおいて多少の調整はしていますが、マスタリングはElaveteだけしか使っていないです。参考にどうぞ。


 

Eventide大盤振る舞い!

 まずグラフィック・イコライザーであるEQuivocateはなんと2017年10 月いっぱい無料配布なんで、すぐさまアカウント作ってゲットしましょう!!で、EQuivocateを持ってれば、セール価格からさらに20ドル安くなるという・・・、すんげー。ダイレクト・マーケティングって感じです。

EQuivocate Giveaway | Eventide

 このイコライザー、要は人間の聴覚の特性に対応した26のバンドを持つイコライザーです。とにかく効き方が、ものっそいナチュラル。

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 そしてElevate人工知能が人間の聴覚にナチュラルに響くように各部分の調整を自動的にしてくれる、という新世代感満載なプラグイン。しかし決して楽になる、任せれば勝手にやってくれる、という代物ではなく、むしろミックスの精度が試されるというか、音量、音圧以外にミックスと音質の差がほぼ無い、というマスターに仕上がります。つまり、ミックスがダメならダメです。人間とAIとの正しい意味での協力を体現したプラグインなのではないでしょうか。

 

 要するにミックスとマスターの差を限りなく少なくしつつ、音を大きくするというのがElevateになります。ミックスと音が変わって欲しくない!ただそのままに音が大きくなって欲しい!という願いを叶えてくれます。

 

 というわけで、いよいよデジタル・オーディオも新しい時代に来たのだな、と強く思うに至りました。では次項から本題。

 

デジタル技術の更なる地点

 もはや過去のものとなったアナログVSデジタル論とは、アナログはファットで温かみがあって・・・デジタルは冷たく、硬く、耳に痛くて・・・というもの。

 

 はっきり言って、この考えはもう終わったと言ってよい段階に来ています。まず確認すべきことは、アナログらしい音というのはデジタルでは出せない、ということ。そこはちゃんと認めないとダメです。あとアナログだから良いわけでもないということ。そして、アナログ再現の限界はあるにせよ、デジタルはデジタルなりに人間の耳に適したサウンドをきちんと生み出せる!ということです!

 

 名機とされてモデリングされるアナログ機材は実は数少ないわけで、それらのモデリングもデジタルで再現できるクオリティとしては昨今において完成されてしまった感はあります。(CPUの進化自体が遅くなっているということもあるかしれません。)

 

 実機に比べてダメ!というわけでも実機なんていらねえぇ!でもなくて、現状のコンピュータの性能から実現できる精度は十分にあるモデリングとなっており、もはや別に実機でなくても、きちんとした効果を得られるレベルになった!ということです。実機は間違いなく良いですが、値段を考えれば・・・ということでもあります。

要はモデリングの性能の伸びが、頭打ち状態になっています。

 

新しい目標に向けて

 もちろん今後もアナログモデリングの製品は出てくるでしょうが、最新プラグインの目指すべき目標は今は変わりつつあるんじゃないかと。最新プラグインを使うことで、なんとなく各企業のヴィジョンが伝わってきます。(まぁ要するに単なる推察なんですけどねー(^v^;))

 

 それはつまり、デジタルだからこそできる、「良い音」とはなにか?それを実現するためのエフェクタープロセッサーとは何か?というデジタル・サウンドについての改めての追求だと思います。つまり、CDが出始めた頃の『デジタルはアナログより良い』という、当時の技術レベルからすれば、ぶっちゃけただの売り文句(Hype)を現実にする時が来たということです。

 

 人間の耳に合うための処理は何か?というのは難しい問題です。アナログ・サウンドの良さというのは、アナログ特性、エンジニアの設計も含めて、音の変化などの様々な要因が複合的に絡み合い、人間の耳に合うような音に結果的になっていたということだと言えると思います。デジタルにおいても、デジタルの範囲の中でそのようなサウンドを追求できるのではないだろうかと。

 

機械側が人間に合わせてくれる 

 ただし、デジタルにおいてはそうした処理をプログラミングとして、人間が書かないといけません。要するにコンピュータは人間に指示したとおりにしか動かないわけですから。これはアナログ部品の特性を利用しつつ、感覚的に設計されたアナログ機材に比べると、また別のかなり難しい問題です。

 

 ただしelevateに関しては人工知能を利用している、ということで、デジタル処理における課題を克服し、ナチュラルな、音楽的なデジタルサウンドを実現するためのブレイクスルーが起こったのかもしれません。

 

 izotopeのneutronはあくまでミックスを自動的にやってくれるものらしいので、このElevateとは基本的に方向性は違うと思います。neutron持ってないのでなんともいえませんが。Elevateはあくまで人間にとって、ミックスとマスターの音質がほぼイコールに聞こえるように調整してくれるというものですから。

 

 というわけで、アナログサウンドに激烈な愛がある人を除き、素直に最新デジタル技術の恩恵を授かることが現代に生きる音楽家のあるべき姿なのでは?という主張を今後、声を大にして言っていきたいと思います。古いシンセやロックサウンドも好きですけど、前に進まないといけませぬ。

 

文: ミウラ義幸